政府が備蓄米を放出した後の米価格の動向は?:3月末の見通し

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政府の備蓄米放出が進む中、3月末からの米価格動向について多くの消費者が関心を寄せています。JA福井県による高い落札率が価格にどう影響するのか、最新の市場分析に基づき詳細に検討します。

目次

備蓄米放出の現状と落札結果

  1. 2割程度は下がるかも!?
  2. JA福井県の入札姿勢と背景
  3. 3月末の米価格予測 短期的な価格動向
  4. 値下げに反対するJAの思惑

2割程度は下がるかも!?


3月14日、江藤農林水産大臣は政府備蓄米の初回入札結果を公表しました。募集された15万トンのうち94.2%にあたる14万1796トンが落札され、平均落札価格は玄米60kgあたり2万1217円(税抜き)でした。

江藤大臣は「需給は一定程度改善され、消費者にとって効果が生まれる」と期待を表明しています。

JA福井県は入札した量の約9割を落札しており、特に福井県産の「ハナエチゼン」と「あきさかり」といった銘柄を中心に確保しました。これらの備蓄米は早ければ3月下旬にも店頭に並ぶ見通しです。

JA福井県の入札姿勢と背景


JA福井県の入札参加は注目を集めています。当初、JA県五連は備蓄米放出に反対の姿勢を示していましたが、最終的には「消費者目線と生産者目線両方で対応していかなければならない」として参加を決めました。

JA福井県は入札額について「相対取引価格を参考に決めた」と説明しており、現在の市場価格水準を維持する方向での入札だったとみられます。同団体は「入札なので価格の水準が分からない。現在の相場観を維持するようなかたちで入札しないと、今後の生産者の手取りにも影響してくる」と述べています。

3月末の米価格予測 短期的な価格動向


現在、米価格は高止まりが続いており、2025年2月第4週時点で5キロあたり3952円と、前年同期の2045円から約2倍に上昇しています。さらに、2025年に入ってからは9週連続で値上がりしています。

3月末の価格動向については、複数の要因を考慮する必要があります:

備蓄米の店頭販売開始: 落札された備蓄米は3月下旬から4月にかけて店頭に並ぶ見通しです。これにより供給量が増え、需給バランスが改善すると期待されています。

値下げに反対するJAの思惑

JA福井県の価格設定姿勢: JA福井県は「価格を下げるというより物を出すことで流通を円滑にする施策」と理解しており、急激な価格下落を目指しているわけではないようです。

専門家の見通し: 明治安田総合研究所のエコノミスト・藤田敬史氏は「小売価格が以前の水準まで下がる可能性は低い」と分析し、5キロあたり3300円程度が「落ち着きどころ」との見方を示しています。

専門家による中期予測

  1. 価格高騰の背景と今後の課題と複合的な高騰要因
  2. 備蓄米放出の限界
  3. 結論:3月末の見通し

米の高値はまだまだ続く?

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日本総合研究所の三輪泰史氏は、備蓄米が3月末から4月にかけて店頭に出始めれば、5〜6月には5キロあたり3000〜3400円程度に下がると分析しています。ただし、燃料費など農家の生産コスト上昇を考慮すると、以前の水準(2000円台前半)までの大幅な下落は見込めないとの見方が主流です。

また、コメの卸売業者などでつくる団体の「向こう3ヶ月」の価格見通し指数が77から54へと大幅に低下しており、「備蓄米の放出で落ち着く」との見方が広がっています。

価格高騰の背景と今後の課題と複合的な高騰要因


米価格の高騰には複数の要因が絡んでいます:

  • 2023年の猛暑影響: コメの品質低下により流通量が減少
  • 流通経路の多様化: 統計に表れない直接取引の増加
  • 投機的購入: 異業種参入による価格上昇圧力
  • 生産コスト上昇: 燃料・肥料などの価格上昇

備蓄米放出の限界


備蓄米放出には条件があり、将来的に国が買い戻すという「借り受け」の形となっています。JA福井県は「(この秋の令和)7年産で返すのであれば、7年産米が少なくなる状況になる。今の情勢が落ちつくまではコメを返すことが難しい」と指摘しており、これが価格への影響を限定的にする可能性があります。

結論:3月末の見通し


3月末における米価格は、備蓄米の店頭販売開始によって下落傾向に転じる可能性はあるものの、大幅な価格下落は見込みにくい状況です。現在10kgあたり8000円程度とされる価格に対して、即効性のある変化は限定的と考えられます。

実質的な価格下落は4月以降に徐々に進み、5〜6月頃に5キロあたり3000〜3400円程度(10kgで6000〜6800円程度)へと落ち着く可能性が高いと予測されます。ただし、生産コストの上昇や返還義務のある備蓄米の性質を考慮すると、コロナ禍前の水準までの回復は難しいと見られています。

政府は残りの備蓄米についても3月中に2回目の入札を予定しており、これによる追加的な供給が価格に与える影響も注視する必要があります。

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